被疑侵害製品製造者の認定

Foundin
[ 2024-12-23 ]

裁判要旨

 

専利法上の製品製造者とは、具体的な製造行為の実施者のみを指すのではない。生産資源を組織し、上下流の生産テェーンを調整し、製品技術案を決定する組織者も被疑侵害製品の製造者を構成する可能性がある。

 

キーワード

 

民事 専利権侵害 製造者 共同権利侵害

 

事件の経緯

 

金華某文体用品公司は「DISNEYディズニー」商標のコップを販売するため、広州某貿易公司、浙江某工貿公司(両公司が混同経営)から偽造防止ラベルを購入したが、広州某貿易公司、浙江某工貿公司が販売しようとする商品の外観図案について審議を行った後、金華某文体用品公司に授権書を発行して偽造防止ラベルを提供して、金華某文体用品公司が京東プラットフォームで当該製品を販売する権利を付与し、金華某文体用品公司に商品に「被許可方の広州某貿易公司、製造者の浙江某工貿公司」との情報を表示するよう要求した。また、金華某文体用品公司は、永康某工貿公司とウィチャットを通じて相談してコップのスタイルを確定した後、永康某工貿公司から上記の情報を表示して製造したコップを提供された。

 

某家庭製品公司は、特許番号が201510147960.5で、名称が「飲料用容器の栓体」である特許の特許権者であり、金華某文体用品公司が京東店舗で販売した上記のコップが係争特許権を侵害したと認定して、公証を通じてコップ二つを購入した。比較した結果、上記のコップは係争特許権の保護範囲に入った。某家庭製品公司は金華某文体用品公司、広州某貿易公司、浙江某工貿公司に共同で経済損失24万元及び権利維持合理費用1万元を賠償することを求めた。

 

一審法院の審理において、永康某工貿公司を第三者として訴訟に追加し、2021年8月26日に以下のように一審民事判決を下した。一、金華某文体用品公司は係争特許権の保護範囲に入った製品の販売及び販売の申し出の行為を直ちに停止し、在庫侵害製品を廃棄する。二、金華某文体用品公司は判決の発効日から十日以内に某家庭製品公司の経済損失及び合理的費用の合計12万元を賠償する。三、某家庭製品公司のその他訴訟請求を棄却する。判決が下された後、金華某文体用品公司は、被疑侵害製品が合法的な出所があり、寧波某貿易公司と浙江某工貿公司が製造者として賠償責任を負うべきであり、金華某文体用品公司は販売者としてすべての侵害責任を負うべきではなく、一審判決の賠償額が高すぎるなどを主張して上訴を提起した。最高人民法院は2023年6月20日に以下のように(2021)最高法知民終2301号民事判決を下した。一、一審民事判決における第1項を維持する。二、一審民事判決における第2項、3項を取り消す。三、金華某文体用品公司、広州某貿易公司、浙江某工貿公司は判決発効日から十日以内に某家庭製品公司の経済的損失11万元、合理的支出1万元の合計12万元を連帯して賠償する。四、某家庭製品公司のその他の訴訟請求を棄却する。

 

裁判意見

 

法院発行判決は、以下のように認定した。第一に、広州某貿易公司及び浙江某工貿公司の製造者の身分に関し、広州某貿易公司及び浙江某工貿公司は被疑侵害製品の実際の製造者と接触しておらず、物理的な意味での製造行為を実施していないが、金華某文体用品公司が製品の外観、図案を審議し、偽造防止ラベルの数量を制御することによって、被疑侵害製品の製造行為をコントロールした。製品の包装及び説明書、製品合格証に表示された情報及び偽造防止ラベルにより、さらに両公司が製造者であることが確認された。

 

第二に、金華某文体用品公司の合法的な出所抗弁に関し、金華某文体用品会社はコップの販売目的を達成するために、他人から商標権限を取得し、生産メーカを選択して、製品スタイルと技術案を確定し、また、すべての被疑侵害製品の販売の責任を負って、被疑侵害製品の製造、販売の全チェーンにおいて中枢的な地位を占めて組織的な役割を果たし、被疑侵害製品の製造者として認めなければならず、合法的な出所抗弁の主張は専利法の規定に合致しない。

 

第三に、本件の処理に関し、本件は金華某文体用品公司の組織的な手配の下で、広州某貿易公司、浙江某工貿公司、永康某工貿公司がそれぞれの分業によって、金華某文体用品公司と緊密に協力して、共同で本件特許権の保護範囲に入った被疑侵害製品を製造、販売する行為を完成し、共同で某家庭製品公司の係争特許権を侵害し、法律によって連帯責任を負わなければならない。

 

ソース:最高人民法院知識産権法廷

 

https://ipc.court.gov.cn/zh-cn/news/view-3620.html