最高人民法院は審理を経て、当業者が請求の範囲、明細書及び図面を読んで理解した一般的な意味で請求項の用語を定義しなければならないと認定した。請求項の用語が明細書及び図面において明確的に定義又は説明されている場合は、その定義に従うことにする。

 

発明の目的を結合して特許請求の範囲の用語を合理的に解釈

 

——（2019）最高法知行終61号

 

最近、最高人民法院は上訴人のジーメンス（深セン）磁共振有限公司（以下、ジーメンス会社）と上訴人の国家知的財産局、上訴人の上海連影医療科技有限公司（以下、連影会社）の専利権無効行政紛争案について判決を下し、係争専利が新規性と創造性を具備すると認定し、ジーメンス（深セン）磁共振有限公司の訴訟請求を棄却した。

 

係争専利の請求項1、エコープラナーイメージングシーケンスの画像再構成方法の保護を求めており、平面エコーイメージングデータSiを取得するとともに、それぞれ偶信号、奇信号、偶信号であり、位相エンコードされていなり3つの参照エコー信号R1，R2，R3を取得するステップと、前記参照エコー信号を通じて前記平面エコーイメージングデータの補正に必要なパラメータを計算するステップと、前記平面エコーイメージングデータを読み出し方向に1次元フーリエ変換して変換結果FSiが得られ、前記補正パラメータでFSiを補正して補正後の平面エコーイメージングデータを計算するステップと、補正後の平面エコーイメージングデータを位相エンコード方向に1次元フーリエ変換して画像を得るステップを含むことを特徴とする。

 

本専利の請求項1の新規性の有無に関する論争の焦点は、本専利の請求項1における「計算」という用語の解釈である。

 

係る決定においては、本専利の請求項1における「計算」は、位相及び他の情報を損失しない直接計算方式と解釈すべきであり、引用文献1は、S1+S3を平均して何らかの情報を損失する間接計算であり、請求項1における直接計算方式は公開されていないため、請求項1は新規性を有すると認定した。

 

一審においては、本専利の明細書において、請求項1における「計算」に対し専門的な定義をしておらず、「直接計算」に関するいかなる記載もないため、「計算」について最も広義の解釈をすべきであり、かつ、このような広義の解釈が合理的範囲を超えてもいないと認定し、係る決定において「計算」を「直接計算」と縮約解釈することは、実際には明細書に記載されている具体的な実施方式をまとめて、引用文献1における補正データの計算方法と比較して得た結果であり、その解釈方法が大きな不確実性をもたらし、かつ「直接」その自体が曖昧であり、専利の請求項1の保護範囲は逆に不明確になり、請求項について解釈を行うの目的に合致しないと認定した。

 

最高人民法院は審理を経て、当業者が請求の範囲、明細書及び図面を読んで理解した一般的な意味で請求項の用語を定義しなければならないと認定した。請求項の用語が明細書及び図面において明確的に定義又は説明されている場合は、その定義に従うことにする。

 

いわゆる最大合理原則を適用して請求項を解釈する場合であっても、請求項の用語の最大意味の範囲内で「合理的」解釈を出発点や定着点とする。

 

具体的に本事件において、発明の目的、明細書及び図面における「計算」に対する解釈及び説明を結合して分かるように、本専利における「計算」はすべての可能な計算方式を含むものではなく、その特定の意味を有する。

 

まず、本専利の背景技術及び発明内容の部分において、従来技術は第1及び第2のエコー信号から位相差を計算し、これらの位相差を補正量として収集した画像データを補正し、N/2アーティファクトを効果的に除去することができず、2次元位相補正法によるN/2アーティファクトの除去効果は比較的良いが、シーケンス収集時間が長くなり、平面エコーイメージングシーケンスは迅速なイメージングの利点を失うことを指摘した。

 

そこで、本専利は、上記のような欠点を克服するために、より正確な平面エコーイメージングシーケンスの画像再構成方法を提供することを目的とする。

 

以上から、本専利の目的は、2つのエコー信号の位相差を計算することにより位相情報を損失する計算方法を明確に排除したことが分かる。

 

次に、本専利の請求項1における「計算」は、位相及びその他の情報の損失がない状況での直接計算であり、「計算」という用語を単純に文字通り解釈してはならないことを当業者は理解することができる。最高人民法院は、関連専利が新規性及び進歩性を具備すると最終的に認定した。

 

ソース：IPRdaily

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