中国(深セン)知識産権保護センターより、專利権評価報告書を15日以内に発行、これは、中国で最初!

Foundin
[ 2021-09-27 ]

 01 中国(深セン)知識産権保護センターより、專利権評価報告書を15日以内に発行、これは、中国で最初!

意匠権評価報告書の事前審査事件

 

最近、中国(深セン)知識産権保護センター(以下、深セン保護センターと略称する)は、有名な深セン企業から、海外進出するため、緊急に税関申告を行う必要がある人商品の意匠権評報告書に対する迅速な事前審査請求を受けました。これに対して、深セン保護センタは非常に重視し、企業のニーズに応えるように、専任の担当者を配備し、審査の進行況を追跡し、2日以に事前審査を完了し、家知識産権局の審査システムに正式に意匠権評報告請求書を提出するように該企業に対して1対1でサポートすることにより、該案を家知識産権迅速審査チャンネルにスムズに進入させて、最終的に企業が15日以に評報告書を取得するようにしました。

 

これは、迅速審査チャンネルを介して完了された国内の最初の專利権報告書であり、深セン保護センターが正式に專利権報告書の発行周期を約3ヶ月から15日内に短縮することを示します。

 

2021年3月22日、深セン保護センターは、国家知識産権局によって正式に承認されて、国内で初めて意匠権報告書事前審査パイロット業務を行う保護センターになりました。

 

深セン保護センターは、今後、科学的な計画を立て、主導権を握り、業務フォローを継続的に補完し、人材確保をうまく行い、政策広報、業務広報及び教育を展開し、企業のニーズに積極的に応え、業務効率を高め、專利権評価報告書の迅速審査の基準を定め、意匠権報告書の事前審査を十分活用することにより、権利取得周期の短縮、権利保護効率の向上、成果転化運用の促進、産業技術革新の発展に貢献する積極的な役割を果たし、深セン知的財産権事業の質の高い発展を促進し、知的財産権ベンチマーク都市の建設に積極的に貢献することを明らかにしました。

 

出典: 深圳晚(深センイブニングニュ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

02 「課題の提起」が進歩性に対する影響

進歩性の判断において、「課題の提起」に対する検討

—— (2020) 最高法知行終183

 

[審判の要旨]

 

專利技術案の進歩性は、「課題の解決」から由来されることができ、「課題の提起」から由来されることもできる。従来技術の進歩の難点が課題の発見にある場合、「課題の提起」が当業者にとって自明なことであるか否かを考慮しないと、後知恵に陥ることになって、技術案の進歩性を過小評価する恐れがあります。

 

[キーワード]

 

実用新案專利無効宣告、技術的課題の提起、進歩性

 

[事件の経緯]

 

控訴人のDJ-Innovations(深圳市大疆新科技有限公司、以下、DJIと略称する)と、被控訴人の国家知識産権局、元審判の第三者のDu wenwenとの実用新案権無効行政紛争の案において、專利番号はZL201520653490.5であり、名称は「雲台」である実用新案(以下、「本実用新案」と略称する)に関し、権利者はDJIです。Du wenwenは、本実用新案に対して無効宣告を請求しました。

 

国家知識産権局は、本実用新案の請求項1、6に対して無効宣告をし、請求項2~5、7~18をもとにして本実用新案の有効性を維持するという第38122号無効審判決定(以下、被控訴決定と称する)を下しました。

DJIは被控訴決定に不服して、被控訴決定の取り消しを求めて北京知識財産法院に訴訟を提起しました。第一審判決では、DJIの訴訟請求を却下しました。

 

DJIは、これに不服して、最高人民裁判所に上訴し、本実用新案が従来技術で知られていなかった技術的課題を発見して解決し、有益な技術効果を取得したため、進歩性を有すると主張しました。具体的に、以下のとおりです。

 

請求項1及び6の技術案によれば、本実用新案に係る雲台において、ピッチ軸構造又はロール構造にロック構造を設置することにより、ピッチ軸構造又はロール構造におけるモータが雲台の非作動状態で勝手に回転することを防止して、非作動状態において雲台が確定の位置に固定されることを保証できます。上記構造の巧妙な設計により、従来技術における、非作動状態では雲台を固定することができなく、又は固定用の構造が複雑である問題を解決して、雲台の保管、ユーザの携帯と使用を容易にすることができます。

 

そして、本実用新案が開示されるまでに、上記技術手段は、如何なる技術書類の形式、又は他の形式で開示されたことがないため、本実用新案の請求項1、6が新規性と進歩性を有します。

 

最高人民裁判所は、2020年9月25日に上訴を棄却し、元判決を維持する判決を下しました。

 

[審判意見]

 

最高人民裁判所は第二審においては、新たな技術的課題の提起、又は従来技術の技術的な欠陥を発見すること自体が進歩性の判断に考慮されるべきか否かは、案件の具体的な状況に応じて確定するべきだと判断しました。

 

多くの場合、技術的課題の提起と技術的課題の発見は、発明創造の動機及び出発点であり、発明創造の技術案の形成と「課題の提起」との間に直接的な因果関係が存在します。

 

ほとんどの場合、「課題の提起」及び「課題の発見」は比較的に容易でありますが、課題を解決できる技術案を見つけることは困難であります。しかしながら、特定の状況では、「課題の解決」よりも「課題の提起」及び「課題の発見」のほうがもっと重要である場合もあります。

 

技術進歩の難点が課題を見つけることである場合、一旦解決しようとする技術的課題さえ確定されると、当分野の常套技術手段の組み合わせ、類似の技術分野の間の技術転移、論理的な技術推理、限られた実験などにより技術的課題を解決できる技術案を得ることができます。

 

このような特定の状況では、進歩性に対する判断を行う過程において、「課題の提出」が当業者にとって自明なことがであるか否かについて検討しないと、進歩性に対する判断が後知恵に陥る恐れがあります。

 

本案において、本実用新案は、「雲台モータ軸の非作動状態でのロック」という具体的な技術的課題を提起しましたが、雲台がモータの角度調整範囲外の「非作動状態」にある場合、このタイプの雲台における「勝手の回転、保管、携帯、使用の不便」との欠陥は明らかなものであり、且つ直接発見できるものであるため、当業者、さらにはユーザも、この欠陥が、「非作動状態」で雲台の位置をロックできないとの技術的課題に起因することを自然に想到できます。

 

したがって、DJIの「本実用新案が従来技術で注意されていなかった技術的課題を発見して解決した」との主張における、技術的課題、即ち、「雲台モータ軸の非作動状態でのロック」は非自明なことではありません。従って、本件の実用新案の進歩性に対する判断において、「課題の提起」のみを考慮する場合、従来技術は既に相応する技術的示唆を与えたと認定すべきです。