国家知識産権局は、福建省知識産権局からの「專利権侵害再犯事件に対する問題の処理に関する請求」(閩知発〔2021〕31号)を受け取った後、調査した上、以下の通り承認します。
現在実行中の「專利法」、「專利法実施細則」では、專利権侵害再犯行為について規定しておりません。部門規則「專利行政法執行弁法」の第20条では、「專利業務管理部門又は人民法院が権利侵害の成立を認定する上、権利侵害者に即時に権利侵害行為を停止することを命じる処理決定又は判決を下した後、被請求者が同一の專利権に対して同じような権利侵害行為を再度行って、專利権者又は利害関係者が処理を請求した場合、專利業務管理部門は直接権利侵害行為の即時停止命令に関する処理決定を下すことができる。」と規定されております。また、北京、天津、河北、浙江、福建、河南、湖北、広東、重慶、四川、貴州、重慶、新疆などの省の地方法規では、專利権侵害再犯行為に対して行政処罰を与えることができると明確に規定されております。
1. 履行期限について
当事者は、行政裁決書を受け取った日から裁決決定を履行又は実行しなけれならず、権利侵害行為を即時に停止しなければなりません。実際の事件処理から見ると、履行の期限は、権利侵害主体の権利侵害範囲、権利侵害商品の販売量、権利侵害商品の回収及び生産用金型を破壊させる難易度などの要素を総合的に考慮して確定することができます。
2. 專利権侵害再犯行為の起算日の認定について
権利侵害再犯行為の起算日は、最初の権利侵害行為に関する行政及び司法手続きの終了時間により決められます。最初の権利侵害行為に対する法院の強制執行手続きの終了日、又は権利者が法院に強制執行を申し立てた期限の満了日を、最初の権利侵害行為に関する行政手続き及び司法手続きの終了時間と認定することができます。その後に発生した権利侵害行為は権利侵害再犯行為と認定されます。
專利権侵害紛争行政裁決案件に対して、「行政強制法」第53条では、「当事者が法定期限内に行政再議又は行政訴訟を提起せず、行政決定も履行しなかった場合、行政強制執行権を持っていない行政機関は期限満了日から3カ月以内に、本章の規定に従って人民法院に強制執行を申し立てることができる」と規定されております。最高人民法院による「中華人民共和国行政訴訟法の適用に関する解釈」(法釈〔2018〕1号)第158条では、「行政機関により、法的認可で平等な主体の間の民事紛争に対して裁決を下した後、当事者が法定期限内に訴訟を提起せず履行もしなく、裁決を下した行政機関が執行申立の期限内に人民法院に強制執行を申し立てなかった場合、有効な行政裁決により確定された権利者又はその相続人、権利承継人は6ヶ月以内に人民法院に強制執行を申し立てることができる」と規定されております。專利権侵害民事案件に対して、「民事訴訟法」第239条では、「執行を申し立てる期間は、二年とする」と規定されております。專利業務管理部門又は権利者が上記の法定期間内に人民法院に強制執行を申し立てた場合には人民法院による執行手続きが終了し、又は、権利者が法定期限内に法院に強制執行を申し立てなかった場合、最初の権利侵害行為に関する法的手続きが終了したと認定することができます。
一時的に停止した後の権利侵害行為に対して、この行為の発生する期間内に法院に強制執行を申し立てることができる場合、強制執行を申し立てることにより救済を求めなければなりません。この行為は、法院による強制執行が終了した後又は当事者の法院に強制執行を申し立てる期限が満了した後に発生した場合、権利侵害再犯行為と認定されます。
3. 「改善があるが依然として権利侵害をしている」行為に対する処理について
このような行為は依然として権利侵害行為に属しますので、專利権侵害再犯行為と認定することができます。しかし、当事者が関連專利の保護範囲を回避しようとした事実から、主観的な意図が明らかではないと考えられ、行政処罰を軽くするか又は軽減することができます。
4. 專利権侵害再犯行為の処理に関する裁決手続きについて
專利権侵害再犯行為の成立は、当事者の再度專利権侵害行為が存在している事実に基づかなければなりません。「專利法」第65条の規定に基づいて行政裁決手続き又は司法手続きを行った後、行政裁決又は有効な判決に基づいて專利権侵害再犯行為の認定を行うことができます。專利業務管理部門が当事者による專利権侵害の有無に対して行政裁決を下した後、專利法執行部門が、地方法規に基づいて「專利権侵害再犯行為」に対して行政処罰を下す場合、厳格に「行政処罰法」の関連規定に従って、事実認定が明らかで、手続きが法的で、適用法律が正しい処罰決定を下さなければならず、当事者の再度專利権侵害行為が存在すると認定する行政裁決文書又は司法裁判文書は、行政処罰事実認定の根拠とすることができます。
5. 專利権侵害再犯行為に関する行政責任と民事責任との関係について
現在実行中の「專利法」第71条では、「故意による専利権侵害について、情状が重大である場合、上述の方法で確定した額の1倍以上5倍以下で賠償額を確定することができる」と規定されております。「最高人民法院による、知的財産権侵害の民事事件の審理における懲罰的賠償の適用に関する解釈」(法釈〔2021〕4号)の第4条では、侵害者の行為が「権利侵害で行政処罰が科され又は法院判決で責任を負った後にも再度同様な権利侵害行為を行う」ことに該当する場合、人民法院は情状が重大であると認定することができると規定されております。これから分かるように、司法審判において、專利権侵害再犯行為が懲罰的賠償を適用します。また、「民法典」第187条では、「民事主体が同一の行為により民事責任、行政責任及び刑事責任を負わなければならない場合において、行政責任又は刑事責任を負うことは、民事責任を負うことに影響を及ぼさない」と規定されております。このため、專利権侵害再犯行為は、行政処罰及び懲罰的賠償を同時に適用することができます。
出典: 国家知識産権局(2021年9月3日)